3.3 実験結果の要約
本実験の全体から伺われた傾向は以下の通りである。
1) 深層水の原液には肝組織に対して変性させる作用があり、一種の毒性と考えられた。
変化の内容は、肝組織の中心静脈周囲の実質細胞に、早い時期に膨化腫大が起こり、細胞の解離も起こる。この変化は時間と共に増強され、病変部分の拡大、細胞の壊死・消失へと発展する形をとる。(2匹での個体差もあり、1匹では障害がやや少ない)―要追試。
2) 深度1400mと600mの深層水では多少の差があり、1400mの方に毒性が強い傾向ある。表層水はそれらよりも障害が少し軽い。
3) 毒性は希釈により軽減する。10倍、1000倍となると中心部の変性が減り、細胞の核保存率が良くなる傾向がある。これは表層海水に比較しても良い傾向を示す。