この冷却曲線は、炉内の五箇所にそれぞれの溶液を置き白金抵抗体で各溶液の温度を計測した。標準液には純水を使用した。この標準の純水は五箇所の容器にそれぞれ入れて場所の影響があるかどうかを見るために行い標準とした。この結果を図2-54に示す。
この図から炉内の温度を一様に下げたとき、水の冷却曲線が4℃近傍で異常な変化をし、過冷却に達してから場所に関係なく固・液平衡(摂氏零度)になり、全てが固体(氷)になってから急激に温度が下がる。4℃近傍の変化は新しいものではなく、4℃で水の比重が最大になるために一機に対流が起こるための温度変化である。
この現象を確認するために、一つの容器に純水を入れ、そこに測温抵抗体3本を上、中、下と1cm間隔に固定して挿入し温度を測った。他の2本は上、中とおなじ位置にくるように配置して比較した。その結果を図2-55に標準比較として示した。この図からも、4℃の変化は水の比重の影響であることが解る。
以上の準備の後、実験条件1〜4までの実験を行った。その結果を図2-56〜図2-59に示した。
これらの結果から、鮮度液の優位性または内部エネルギーの変化を示唆できるような結果は確認できず、冷却曲線からは鮮度液の優位性または有効性を明らかにすることはできなかった。このことから直ちに、鮮度液の有効性が否定されたのではなく、水の持つ豊かな物性が冷却曲線からは何も言えなかったということである。
最近、水の分子1000個位の挙動を1nという極狭いところに入れると、35℃位で急に水の動きが緩慢になるとの報告や、アモルファス氷に低密度と高密度の2種類がありそれが溶けた時の水に違いがある等の興味ある報告等が散見され始めてきた。
このように、水はまだまだ解らない現象が多々あり、沖縄県海洋深層水開発協同組合の開発した鮮度液もその一つではないかと考えられる。
今後は水の他の物性から鮮度液の優位性に触れられる実験手法を新しく考えなければならない。