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2-6 深層水及び鮮度液の含有微量元素量の把握

 

1. 実験目的

沖縄県海洋深層水開発協同組合が深層水を調合希釈して生成した「鮮度液」のもつ抗菌性や細胞の保護的機能(注)について、現在の研究から一般的に、深層水の微生物の非混入による無菌性(清浄性)、豊富なイオン濃度、安定な定温性(低水温性)等が指摘されている。しかし、これらの指摘からは極めて消極的な「鮮度液」の機能しか説明できない。

その為に、化学的な組成から鮮度液の機能を説明できるのではないかと考え、手始めに化学分析を行い化学的な機能、ひいては生物に対する生理学的な機能と意義を解明しようと試みた。

(注:平成11年度地域産業総合支援事業調査研究委託報告書 海洋深層水利用による生体等の保存技術の調査研究、沖縄県海洋深層水開発協同組合、平成12年3月31日)

 

2. 分析結果

深層水の化学分析の結果から表層水に比べて深度1400mの深層水では、リンの含有量が2倍以上であったが、Na、Sの濃度にはほとんど変化はなく、Kの濃度は89%、Mnは114%で、Mg、Caは数%高い程度に止まっていた。ただFeは表層水の51%しかなく、ZnやCuはそれぞれ1/29、1/15と極めて微量であった。更に、B、Mo、Al、Be、Cdはほぼ同量であるが、Coは3倍となった。

深層水に含まれる豊富なリンないしリン酸化合物は、栄養学的にも化学的な機能の面からも重要な働きをもつものと思われる。その他、Mg、Mn、Caが多く、生理的な機能や緩衝効果などが考えられる。平均的な海水の元素含量と比較しても深層水の特徴が明確である。

しかし、これらの元素分析結果からは、鮮度液の示す大腸菌やブドウ球菌に対する抗菌性を直接的には説明できず、また、肝細胞に対する保護的な作用効果についても原因の論拠を示すことはできなかった。

深層水は、生物学的にも化学的にも環境化学物質の汚染が無くクリーンであり、物理学的な安定性、特に安定な水温や大きい水分子クラスターから形成されていることなどからくる安定性が知られている。更に、化学的にも多種多様な元素やミネラル成分が多く含まれており、無機栄養塩を中心とした豊かな栄養性が保証されていると言える。

我々の体内には種々の多様な元素が存在し、多量なものから微量なもの、超微量なものまであり、栄養学的にはこれらが必須でありミネラルの欠乏による様々な健康障害、疾病が知られている。

 

 

 

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