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さらにこの深層水の1部は、北西方向に流れて、フィリピン海へ流入し、フィリピン海深層水となる。このフィリピン海深層水の一部は、九州―パラオ海嶺の深い谷を通って北上し、琉球海溝までやってくる。2000年という世界で一番古い海水の長い旅は、深さ1000m以浅の海水と混合することによってその長い旅におわりをつげることになる。ここで述べた物語をより確実なものとするために、また、放射性炭素の年代測定の問題点を解決するためにもさらに深層水の年代測定のデータを積み重ねる必要がある。

最後に、フィリピン海の放射性炭素のデータを見せてくださり、ご指導いただいた蒲生俊敬教授(北海道大学)深く感謝します。

 

参考文献

1. Broeker et al. (1985) Nature, 315, 21-26.

2. Gamo T. (1978) Studies on the distribution and behavior of dissolved gases in the ocean. Ph D thesis, University of Tokyo, pp.138.

3. 蒲生俊敬(2000)私信.

4. 沖縄県海洋深層水開発協同組合(1999)海ヤカラ1号設置海域の水塊の物理・化学的特性、平成10年度融合化開発促進事業報告書、pp.62-80.

5. Stommel H. (1958) Deep-Sea Res.,15,80-82.

 

 

 

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