4.2 設置作業要領
4.2.1 作業順序
取水管システムの設置作業過程において、一旦取水管を台船から繰り出して着水させてしまうと、万一取水管に異常が発生しても発見・対策が困難である。取水管異常発生の可能性としては、以下の項目が考えられる。
1) 取水管移動時の擦過傷・捩れ
2) 取水管繰り出し着水時の折れ・絡まり
3) 取水管の海中投入時の絡まり・圧壊
設置作業を検討する目的は、取水管システム異常発生の原因と考えられる問題点を可能な限り対策して取水管の健全性が維持できるような作業順序を計画することである。
取水管システムの甲板上移動作業時及び取水管繰り出し・着水作業時の異常発生予防に対しては、取水管が甲板上にあるうちに慎重に点検・処置を行うことが可能である。しかし、取水管を海中に投入後は、絡まり・圧壊に対して点検・処置をすることは困難である。
取水管の海中投入後の絡まりを予防するためには、絡まりの原因となる海上において潮流により発生する取水管の大きな緩みと、ブイ本体着水後に発生するブイの回転を防止する作業順序を検討することが重要である。取水管の圧壊を予防するため、取水管内の空気抜きが不十分な状態で取水管の過度な沈降を防止するための作業順序を検討した。
設置作業順序は、取水管の設置方式によって決まってくる。取水管圧壊の懸念を確実になくするためには、台船上においてガイドロープに取水管を逐次固縛しながら海中に垂下させていく方法があるが、この方法は多くの人手と時間を必要とし、取水管システムの繰り出し作業だけで約18時間を要する。また外洋における夜間工事をともなうことになり安全上不適当となった。
「海ヤカラ1号(改造前)」の取水管システム設置要領を見直して、取水管の絡まり及び圧壊防止方法を中心とした設置作業順序を決めている。
1) 設置海域の位置をGPSで確認の上、付近の潮流方向、風向を調査して取水管が横方向に流されないように繰り出し方向を決める。
2) 作業船に取水管システム最下端の重錘を受け渡し、台船から徐々に潮下方向に離れる。
3) 台船の移動に伴って、取水管システムを人力で繰り出す。
4) 取水管システム全長の中間点に過度沈降防止対策用補助フロートを装着して再度繰り出す。