日本財団 図書館


3.2.5 深層水自噴流量計測装置

波浪によるブイ本体の上下動に伴って取水管の中に充満している海水が間歇的に僅かながらでも噴出している現象が、改造前の「海ヤカラ1号」の設置実績から認められていたが、自噴流量を計測して客観的に説明できる手段を持っていなかったために正しく評価出来ていない。この現象を実海域において確かめるために揚水実験を行う必要がある。

そこで「海ヤカラ1号」の改造再設置を機会に自噴流量計測装置を装備して自噴流量を確認する方法について検討した。

「海ヤカラ1号」再設置時に装備する自噴流量計測装置がもつ課題は、外洋で大きく動揺するブイに搭載して間歇的に流れる少量の流量計測精度の確認手段である。また改造工事規模(工事内容、工事期間、費用)の範囲内においてどこまで課題を解決することができるかを調査することである。

継続的に揚水試験を実施するためには、機械的な方法による必要がある。この方法は、積算流量計を取水系に組み込むものであるが、間歇的に変動する小流量を外洋において計測することは流量計にとって極めて厳しい要求性能となるために、現在ある市販品のなかから対応できる機種を得ることは困難を伴うものとなる。

そこで、先ず検討の的を絞るために、自噴流量を確認することが主目的であることから長期安定使用の装置ではなく自噴流量が確認出来る短期間だけ使用できればよい装置の調査に主眼を置いた。

市販システムを調査した結果、「海ヤカラ1号」の使用条件に合う流量計は得られなかった。機械式流量計は本来静止台に据え付けて、脈動の少ない連続流量を計測するものであって「海ヤカラ1号」に搭載して使用することに対応できるメーカーは皆無であった。

その中から比較的簡易・安価な計測器を選定して流量計に傾斜、動揺条件を与えながら実流量の確認試験を実施した。計量容器の水20リットルを使用して流量計測を実施した結果、±20%の精度であり、計測器の精度としては1桁大きい。しかし現状では他に使用可能な流量計が得にくいことから±20%の精度を考慮して次の流量計を用いることとした。

 

深層水自噴流量確認試験に使用した市販の積算流量計仕様

製造 愛知時計電機(株)

装備方向 水平

防水性 本体は非水防(水防容器内に収納)

圧力損失 0.1kg/cm2以下

流量範囲 60l/分以下

測定精度 ±2%(reading)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION