・潮流の影響をみると重錘重量380kgの場合、作用張力は1083kg〜1524kgとなりガイドロープの安全率は7〜9となる。また取水管下端の上方変動量は、15m〜320mの範囲でロープの設計条件をほぼ満足している。
・重錘重量の影響をみると潮流2.5ノットの場合重錘重量は、380kg〜760kgにて作用張力は1210kg〜1740kg、下向き張力は404kg〜868kgである。この時の取水管下端の上方変動量は237〜104mの範囲である。
・「海ヤカラ2000」の取水管下端の深度測定記録から取水管下端の上方変動量の最大値は約300mである。
以上より、ブイの予備浮力確保の点から重錘重量は380kgが望ましく、また上方変動量幅は237mで実用上許容範囲と考えられ、取水管システムはφ20テトロンSタフレのガイドロープと水中重量380kgの重錘を使用する。
3.2.4 取水管システムの組立て
取水管システムの組立ては、「海ヤカラ1号」及び「海ヤカラ2000」の作業実績及び使用実績から得られた不具合点に対して一部改善を行い、その他については現状の方法に倣う。
取水管システム組立ての基本は、水密堅牢な取水管接続部が確保できる接続要領・継ぎ手器材の選択、取水管とガイドロープの固縛間隔を適切に調整、取水管とガイドロープの損傷予防を考慮した固縛要領・固縛器材の選択、及び劣化損傷に強い取水管を選定してブイとの連結部の施工要領を考案することである。
塩化ビニール取水管の定尺長さは50mで、総数48本を硬質塩化ビニール製の竹の子継ぎ手とステンレス製ベルトを使用して接続している。ステンレス製ベルトの先端処理不足個所がガイドロープに繰り返し接触したことにより、ガイドロープが切断して1400m系取水管が約600m脱落する事故が発生した。
以来、ステンレス製ベルトの形式見直し、施工要領の改善とベルト外周の養生を施したことによって不具合の再発は防止できたと認められる。
取水管とガイドロープの固縛作業は「海ヤカラ1号」改造前、「海ヤカラ2000」の実績から締め付け不足による固縛部の脱落、締め付け過ぎによる取水管の変形、固縛作業後の養生不足によりガイドロープに器材が接触して損傷切断する等の不具合が確認されているが、これらは取水管システムの材料、構造の不備ではなく、作業管理と工程中検査に不適切があった。