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ミネラルと水の相互作用の研究(現在、有限会社川田研究所代表取締役川田薫氏)は、旧科学技術庁の外郭団体である新技術事業団のプロジェクト「さきがけ21」でも取り上げられ、ミネラル濃度が数ppb(10億分の1レベル)であっても水の分子同士が互いに引き合う結合エネルギーを増す効果のあることが判明している。前頁の写真1左は、超純水を液体窒素で凍結した電子顕微鏡写真である。同じく右写真は、ミネラル濃度7ppbの写真である(共に川田薫氏)。右写真の方が輪郭が明瞭となっており結合エネルギーが高いことが伺える。このように、極めて微量のミネラル(ここでは深層水を含む海水と解釈できる)でも、溶解することにより水構造に影響を与えることは、鮮度液中の深層水濃度を裏付けていると解釈できる。

現在、生物、物理、医学の各分野の研究者にご参加を戴き、深層水を含む海水の物性、細胞への作用、安全性、コンピュータシュミレーション等により鮮度液の現象解明を進めているところである。

深層水を含む海水による細胞に馴染みやすい水の追究の旅はまだ始まったばかりであり、海水の本質に少しでも近づき、そこで開発された技術を社会ひいては自然環境に還元して行くことができればと考えている。

最後に、本事業は、日本財団のご指導、ご支援のもとに実施されたものであり、「海ヤカラ1号」の再設置に向けた技術構築に当たりましては組合員の新糸満造船株式会社と藤井宏一郎氏のご尽力により進めることができました。海ヤカラ1号設置海域のリモートセンシングによるクロロフィルの解析におきましては、東海大学開発工学部教授の福島甫先生はじめ情報技術センターの関係者の方々のご支援なしには困難でした。海水の年代測定にあたりましては琉球大学理学部の大出茂先生にお世話になりました。また、植物プランクトンの増殖・増加量の試験に至る過程におきましては(有)川田研究所の川田薫先生の卓越したミネラル研究成果に負うところが大でありました。魚の鮮度保持試験においては元水産大学校教授で(社)新漁船漁業技術研究協会会長の今西一先生に試験魚種選定の重要さについて貴重な指針を戴きました。水分子のコンピュータシュミレーションにおきましては難題を快く引き受けて戴いた(株)リザード代表取締役の上猶稔氏に感謝申し上げます。生体の保存の研究に当たっては、琉球大学医学部教授の伊藤悦男先生に深層水の安全性の面から更に踏み込んだご教示を戴くことができました。細胞修復の試験におきましては、(株)BIOS医科学研究所の三木敬三郎先生に分子生物学領域からの貴重なアドバイスを戴くことができました。一方、海ヤカラ1号周辺海域の海洋調査にあたっては株式会社アクアクリエーションの職員の方々の多大な協力をいただきました。

 

 

 

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