飛ぶ種の不思議
兵庫県立神戸高塚高等学校教諭 泉伸一
以下に示す掲示文と、実物の展示、写真、模型の制作を行いました。四種類の模型を作る準備はしていきましたが、簡単に制作できる偏心型のものを主に来場者に作っていただきました。高校生から大学教授まで、幅広く楽しんでもらったと思います。
種子植物は子孫を残すため、種子を散布しなければなりません。陸上での散布は困難で、様々な手段が進化してきました。一つの方法として、空中を飛行させるものがあります。今回は飛ぶ種数種類の飛び方を示します。またその模型を作って体験的に理解しましょう。
1. グライダー型
薄く広い翼をもち、グライダーのように飛行します。この種子はアルソミトラです。東南アジアの熱帯・亜熱帯林の中の蔓植物の種子で、無風状態の森の中をゆっくりと飛行します。
2. 回転型(プロペラ型)
日本の正月行事の「羽根つき」に使われる「追い羽根」と同じ構造の種子です。標準和名が「ツクバネ」で、種子は食用になります。回転することで滞空時間が長くなり、より遠方へ種子を運ぶことができます。
3. 回転型(偏心型)
種子以外には見られない形状で、人工物に該当するものはありません。種子を見ただけでは回転することを予想できません。この例は、カエデの種子で回転能力は高く、滞空時間も比較的長くなります。
4. ヒラヒラ型(空気抵抗型)
薄い膜状の構造を発達させています。空気抵抗を大きくすることで滞空時間を長くします。ユリの種子実際の動きは不規則なものとなります。