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内分泌撹乱物質による生物への影響

−マウスの精子数、運動能力、生殖器への影響の検証−

馬場桃子

 

私は、ポリカーボネート製食器から溶け出すおそれのある環境ホルモンについて研究しました。文献を読むうちに、ポリカーボネート製食器に高温の液体を入れ、放置すると、ビスフェノールAという環境ホルモンが溶出することを知りました。そこで私は、雄のマウスにビスフェノールAが溶出したと思われる水を、35日間給与しました。対照区としては蒸留水を用います。給与期間終了後、解剖し、精子数、奇形率、活力の3つの項目について調べました。比較してみると、ポリカーボネート製食器に入れた水を給与したマウスは、蒸留水を飲ませたマウスに比べ精子数は減少し、活力も衰え、奇形率も高まっていました。奇形精子の種類も多かったように感じられます。これらは、精子形成の際に関わるホルモンのバランスが崩れたことにより、おこります。

このような結果からわかることは、ポリカーボネート製食器からビスフェノールAという環境ホルモンが溶け出していたということです。しかしこの研究のみでは、一概にビスフェノールAの影響だけとはいえません。技術面でも設備面でも未熟な点もあり、正確さに欠け、文献などをみても多くの問題・疑問が残されているからです。

今、私は2世代の雄の精子や雌の子宮の肥大などについても研究を続けています。シンガポールという大舞台が終わっても、コツコツと研究をやっていこうと思います。

 

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