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光弾性装置による人体骨格に加わる力の可視化

杉本聡美

 

私は、「背骨にはどのように力が加わっているのか」について調べました。その結果、背骨のS字カーブの荷重分布から、頚椎、胸椎、腰椎で荷重の負担に差があること、また、荷重が腰椎周辺に集中していることがわかりました。腰椎の周辺の筋肉に疲労が生じるのはこのためだといえます。その他にも、椎体の荷重分布から、椎体の間にある椎間板がクッションのような働きをもっていることと、椎体が傾きを持つことによって椎間板を傾斜側へ押し出そうとする力が働くということがわかりました。つまり、腰痛は背骨の形と関係していることがわかったのです。

腰痛の原因となる病気の1つに、椎間板ヘルニアがあります。これば、椎間板が脱出、または突出して、周辺にある神経などを圧迫し、痛みが発生するという病気です。もし、この椎間板ヘルニアが起きるとするならば、今までの実験から、腰椎でおきる可能性が高いということがわかりました。

今回の実験では、光弾性装置を使用しました。これは、外からかかる力によって内部に生じるひずみを縞模様として見せるものです。実験材料には、エポキシ樹脂板を背骨(S字カーブ)や椎体の形に加工したものを使用しました。

 

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