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表7 背景因子による尿失禁頻度差

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「なぜ80歳を過ぎると尿もれが多くなるのか」については、以下のような理由が考えられます。

前に述べましたように、この障害により膀胱収縮を抑える命令が大脳から延髄の上位中枢へ十分伝わらないために、尿意を感じるとすぐにトイレに行きたくなります。この状態がひどくなりますとトイレに間に合わずに尿をもらしてしまいます。高齢になるに従い、多かれ少なかれ脳血管障害が進行するため、尿もれ患者さんの数もふえると考えられます。

表7はお年寄りの異なった居住背景での尿失禁頻度を示しています。尿もれ頻度は一般社会で生活を営んでいる人では男性30.4%、女性13.6%、脳血管障害のためのリハビリテーション病院では男女とも28%、在宅訪問看護を受けている人(寝たきりに近い状態)では男性58%、女性47%でした。

このようにわが国では治療を必要とする尿もれ患者の多いことが理解されたと思います。これらの人の「尿もれの型」は腹圧性尿失禁(お腹に力が入ったときの尿もれ)と切迫性尿失禁(尿意が強くトイレに間に合わずに尿をもらす)とに分けますと、女性では、1]在宅訪問看護を受けている患者、2]脳血管障害リハビリテーション病院入院患者、3]一般社会在住者の順で、切迫性尿失禁の頻度が増加していました。

 

 

 

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