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私が1973年に出版した「POS−医療と医学教育の革新のための新しいシステム』(医学書院)の中には、医療・看護・介護の変化によってチームの構成とその役割も革新的に変えられなければならないことを提示しました。医療チームの各人の役割に従来のごとき縦割りの壁がある限り、21世紀の医療・看護・介護は望ましい方向にはいかないのではないかと思います。ではそれが現在までに果たされてきているのでしょうか。

POSは、32年前にウィードによって蒔かれた種が時代の流れとともに、現代までどのように医療の変化を取り入れてきたか、あるいは取り入れなければならないかということを検証しながら、私の話を展開していきたいと思います。

 

POSの発展過程

 

最近のアメリカ医療界の話題と世界の医療の潮流を看護の面から概観してみることにしましょう。

まず、1967年に4段階からなる看護過程がユラ(Yura)とウォルシ(Walsh)によって発表され、翌1968年にウィードがPOSを主唱しました。その後全米看護診断などのさまざまの看護上の理論が展開され、1981年にはフォーカス・チャーティングが唱えられました。そして、1983年には医療費の診断別定額払いであるDRG/PPS(Diagnosis Related Groups/Prospective Payment System=診断群別包括支払い制度)が医療システムに大きな変化をもたらしました。その後、1985年には、看護の行動計画、クリティカル・ケア、ケアマップなどが取り上げられ、1991年にはアメリカ看護協会の6段階の看護過程が生まれました。そしてその間にEBM(Evidence Based Medicine)の思想が入り込んできました。

 

 

 

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