その結果、クライアントにとっては、家族がすべて悪い、あるいは職場の人が一方的に悪いのだと思うようになり、さらに、援助者であるあなたは全部よいという印象を与えてしまうのです。そのようなかかわりは分離を生じさせてしまい、癒しのかかわりをもつことが不可能になります。実際、援助者とのかかわりは時間的にも非常にわずかしか一緒にいることができません。1日、あるいは1カ月の単位の中で考えますと、援助者とのつながりは非常に限られた時間でしかありません。私とであれば1週間に1回のセッションの50分、2週間に1回の場合は、2週間でたったの50分、あるいは1カ月の場合ではほんのわずかの時間というにすぎません。患者さんたちは、自分がいる場所、つまりクライアントといつも一緒にいる人たちがすべて悪い人だということになると、わずか50分だけのかかわりだけがよいかかわりにすぎないというのであれば、彼らの生活はどうなるのでしょうか。
人生のほとんどが困難な状況の中にいて、ほんのわずかな時間を援助者とのかかわりの中に逃げるような形でよい時をもつようになってしまいます。援助者とのかかわりで慰められ、励まされていくかもしれませんが、あとのほとんどの時間を問題解決の非常に困難な中に生きなければならないとするなら、ある意味では、スピリチュアル・ペインを逆に増幅させてしまうのではないでしょうか。
ですから、分離ではなく、現実を直視させる必要があるということです。現実から分離させるのではなく、自らの姿というものにも何らかの問題があることを直視できるようなかかわりというものが必要なのです。