したがって、過度な責任を負うという形で出てくることがあります。自分の能力とか体力の限界がわからないために、自分しかできないというような思いになって、過度な責任を負ってしまうのです。そのひとつがワーカホリックといわれるものです。日本人は“働き蜂”といわれたりしますが、「自分がしなければ」というところから、自己過信に陥って、早朝から夜中まで仕事をして、それ以外の生活がほとんどない状態になるのです。人間関係も犠牲にしますし、また、家庭生活も形だけしかありません。
個人主義
第3は、「個人主義」です。これは利己的な生活をして、他者への無関心という形で現れてきます。自分の世界に入ってしまい、自分のことしか考えられないのです。他人への配慮やケアすることなどは眼中にないというタイプです。多くの方々が“自立”と“個人主義”とを混同していることがあります。つまり、自分の世界に入って、他者については一切関知しないような生活が自立と勘違いされているようですが、これは自立ではなく個人主義で、まさに自己充足の生き方です。
恥の文化や大家族的な生き方が過去のものとなる中で、健全な自立を助けるしつけや教育がまだ確立していない環境で育つ若い世代が、利己的な生き方に向かうのは自然の流れかもしれません。電車で周りのことなどにお構いなく携帯電話で話している姿や、高齢者が立っているのに優先席にどっかりと座っている若者などは、まさに個人主義そのものです。