では、「癒された状態」とは何を指すのでしょうか。実はHEALと同根の言葉を集めてみると答えが浮かび上がってきます。いわば同じ親から生まれた子どもたちですから全員集合してもらえば「健康」家族の全体像がつかめるというわけです。
さて、HEAL、HEALTHのもう一人の兄弟、それはWHOLEです。英語では残念ながら15世紀頃、頭にWがついてWHOLEというスペルになってしまいましたが、もともとはHOLEという綴りだったのです。多分、「穴」のHOLEとの混乱を避けてのことでしょう。
WHOLEというのは「全体」ということです。ケーキ屋さんで、小さく切り分けないで丸のままのケーキを「ホール」と呼んで売っていたりします。欠けたところのない丸のままの全体、それがWHOLEです。
ホーリスティックな医療という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。近代医学が人間を循環器だ、消化器だ、精神科だとバラバラに分けてしまうのに対して、人間をひとまとまりの「全体」としてみていくアプローチをそう呼ぶことがあります。この「ホーリスティック」も「ホールとして、全体として」という意味です(ホーリスティックというときはいまでも余計なWをつけずにHOLISTICと書きます)。
これでかなり見えてきました。つまり、癒しとはその人の全体性を回復することであり、全体性が回復された状態が「健康」なのだということになります。