スピリットのルーツ“霊・息・風”
では「スピリトゥス」と「プネウマ」と「ルーアハ」に共通し一貫していることは何か。どれも「霊」とも「息」とも「風」とも訳せるという事実です。このうちどの訳語をとるかは翻訳者の解釈次第です。
たとえば旧約聖書の冒頭、創世記1章1節の書き出しはこうなっています。
初めに、神は天地を創造された。
地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、
神の霊が水の面を動いていた。
この最後の「神の霊が」という部分は「神の風が」とも「神の息が」とも訳せるわけです。
次に「人の創造」(創世記2章7節)の記述を見てみましょう。
主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、
その鼻に命の息を吹き入れられた。
人はこうして生きる者となった。
「命の息」となっている部分は「命の風」とも「命の霊」ともいいうるわけです。
「息を吹き込まれて生きるものとなった」という発想は日本語の世界にも通じるところがあります。