さて聖書を開く前に、今日の世界における聖書の影響力について見ておきましょう。ご存知のように聖書はキリスト教の独占物ではなく、旧約聖書はもともとユダヤ教の聖典ですし、イスラム教も旧約・新約聖書の伝統を土台にしています。つまり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は「ダンゴ3兄弟」のようなもので、中を貫く串が「唯一絶対の天地の創造主を信じる」ということです。ですからこれら3宗教はひとまとめにして“聖書の民、経典の民”と呼ばれることもあります。
世界を見てみますと全人口の3分の1がキリスト教徒で、“聖書の民”全体では過半数になりますので、人類の半分以上は聖書の世界観、人間観を前提に生活しているということです(ちなみに仏教徒は世界の人口の約6%ですからかなり少数派です)。
地域的に見てみますと、ヨーロッパでは75%がキリスト教徒、そしてユダヤ教とイスラム教を合わせると8割の人がいわゆる“聖書の民”です。
北米ではキリスト教徒が54%、ユダヤ教、イスラム教を合わせると56%です。南米では全人口のなんと98%がキリスト教徒です。アフリカでは3分の1がキリスト教徒で、イスラムを加えると全住民の73%になります。オセアニアでは人口の3分の2がキリスト教徒です。
アジアはどうでしょうか。人口超大国の中国やインドではキリスト教は少数派ですが、それでもアジア人全体の3分の1が“聖書の民”で、そのうち3分の2がイスラム教、残り3分の1がキリスト教です。