相談のスタイルとしては、場所や場面を選ばず何時でも何処でも必要に応ずる「非定型、オープン型」がほとんどです。現場で蓄積されてきた子育てに関する知識と経験を生かしながら、アドバイスしていきます。参考や確認のためのハンドブックとして、日本保育協会より出版されている「子育て相談の手引き」を利用しています。もう一つの大きな力は、保育園で生活している健康的な子どもと、プロの育児をしている保育士の姿を見せることです。乳児室も保育の妨げにならないよう配慮しすべてガラス張りで中の様子を見ることが出来るようにしてあります。食事、排泄、遊びなどの生活すべてを近くで見ることで、知り、学び、そして安心します。健康的で楽しそうな空気の中で、閉鎖的で見えないからこそ膨れていた「不安」が段々消えていきます。保育園は、かつて地域の中にあった見習いの場所としての機能も十分果たしています。
■日々の生活を健康的なものへ…子どもの健康の大切さを伝える
子育て支援の毎日で、相談を受ける以前に大切にしていることがあります。それは、保育園保育の中でも行われている子どもの健康的で自然な生活リズムを伝えることです。ほっと出来る「ティータイム」の時間などを利用し繰り返し伝えます。話を聞きながら「11時前に寝たことがない」などという親子が多い現状に驚いています。大人の都合だけにあわせた夜型の子どもになっているのです。
人間も、自然の一部であり、小さな子ども程自然に近いと思います。不自然に育てるから歪みが出てくるのです。いつも機嫌が悪く、ぐずっている。ボーッとしていたり、遊びに集中できない。食欲がない。これでは、様々な問題が次々と生まれて来て当たり前です。どんな地域でも都市化が進み社会が夜型であることと親自身も夜型で育ってきたことの癖がしっかりと身についているのでなかなか治せない、区切ることができず、ダラダラとして過ごす日常からはなかなかぬけられないようです。生活の様子を聞くと、たいてい父親の帰宅時間が遅く育児参加がほとんどできない状態であることがわかります。父性的な役割の欠如です。
■保育園は、相談を受けながら同時にケアできる唯一の場所
たいていの相談はアドバイスをするというより、子どもとの生活の様子を聞き、少し整理し具体的な解決方法を親自身が考える。そして、つい流されてしまって、習慣化してしまった生活の癖を治す。取り組みやすいところから無理せずやってみるよう伝えます。めりはりの無かった夜型生活から一歩踏み出して、意欲的なリズムのある生活へと気が付いたら変わっていく。