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<考察>

改正前後の接種率に大きな変化はみられません。発生状況は各疾患ともやや減少傾向にあります。しかし、0・1・2歳児の発生率が3・4・5歳児と比べると極端に高くなっています。できるだけ早く、接種できる物についてはできれば入園前に接種しておくことが望ましいといえます。

水痘、流行性耳下腺炎は在園中にそれぞれ70%、30%が罹患しているにもかかわらず、接種率は10%以下です。接種がなかなか伸びないのは、有料であることも1つの原因と考えられます。

麻疹は罹患すれば重症化することが少なくないのに、接種率は80%にとどまっています。発生率が改正後に増加しているのも唯一麻疹であります。

インフルエンザは感冒扱いになっているケースもあり、実際数はもっと多いと思われます。接種方法についてはやはり費用、回数等の問題が残されています。

 

<まとめ>

未接種分について保護者の意向を聞いて行くと「自然に罹って免疫をつけた方が良い」と、思っているケースがあります。しかし、近年核家族化が進み、子どもが病気になっても保護者は仕事を休めない、子どもを頼める人もいない。それに伴い体調不良のままの無理な登園、病児保育室は定員数が少なく、利用が厳しいのが現実です。罹患すれば症状に苦しむこと、合併症の危険、潜伏期間を含め他児への感染源になる等を説明し、「病気は罹って免疫をつけるよりも予防接種で免疫をつける」という、認識をもってもらうことが大切です。そして、保護者が「安心して積極的に予防接種を受けさせる」ことができるよう予防接種の正しい知識と有効性、必要性の啓発に努めていくことが大切です。

子どもを中心に関係機関の連携をはじめ、ワクチン費用の軽減が検討され、より受けやすい環境が整うこと、保育園での予防、啓発接種後の安静等の対応が今後の課題と思われます。

 

 

 

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