提案要旨
保育と口腔保健
伊藤清美(中野区立住吉保育園看護婦)
生後57日目からの産休明け保育をしていると「首がすわった」「寝返りができた」「這い這いした」…「立った」「歩いた」と保護者と一緒に喜び、子どもが1年間で体得する成長のすばらしさを実感します。歯の萌出もその一つ、“ニコッ”と笑った口から“ニョキッ”と見える1〜2本の歯、この子がこれから離乳食を開始し、摂食・咀嚼・嚥下等、人間が生命を維持するために必要な機能をきちんと発達してほしいと願います。
「今時の母親は…」と子育てについて何かと批判される中、0歳児の保護者会に必ず「いつ頃から、どうやって歯磨きをすればよいのですか?」と歯ブラシの使用の質問が出ます。子どもの歯の衛生についての母親の意識は、高くなっていると感じます。また、年2回行われる歯科検診の結果をみても、保育園の子どもの虫歯の罹患率は低くなっています。保育園では、子どもの生活リズムを大切にしており、栄養士による食事の管理、保育士による食べ方の指導、保健所の歯科衛生士が保育園で子どもたちの歯科講習会を開き、一人ひとりに丁寧に歯磨き指導を行うなど、虫歯の予防は日常の保育の中で位置づけられています。
中野区保健所では1歳6ヵ月児・2歳児・2歳6ヵ月・3歳児健診で歯科検診、歯磨き指導を実施しており、保育園児の参加率も高く、虫歯予防の効果が出ていると思います。保健所と保育園という他機関との連携がうまくできている例だと思います。中野区では、3歳児歯科健康診査のう歯所有者率が11年度15.8%で、すでに厚生省の歯科保健目標2001年20.0%を下回っています。
我保育園では独自に、幼児クラスを対象に年間計画をたて、子どもが楽しめる健康教育を実践しています。年に2回は虫歯予防デーとして「歯磨き指導」を行っていますが、その一部をご紹介します。