・Argo計画を知っているのは3/4の回答者にとどまったが、Argoで得られるデータに大きな期待が寄せられている。
・協力方法としては観測データを業務または研究に利用する人が多く、フロートの投入に協力するは約1/3であった。
2] 島しょ国と非島しょ国の比較
今回の海外機関向けのアンケート調査結果について、島しょ国、非島しょ国に分けて集計を行うと、表2.5.2に示すように多くの項目に明瞭な差が見られた。
まず、今後増加が懸念される災害として非島しょ国では洪水や大雨という陸域性の災害が上位を占めたのに対し、島しょ国は海面上昇をトップに挙げ関心の高さを明らかにした。またその原因としては、非島しょ国は海洋側に原因を挙げる機関が多く、一方島しょ国は大気側に原因を挙げる機関が多く、自らの国に縁の少ない事象に原因を求める傾向があり、興味深い。
また、海洋観測に必要な資源やデータの利用、観測の実施状況については、非島しょ国が全般に積極的に調査研究を進めているのに対し、島しょ国は消極的な状況が見て取れたこれは非島しょ国に先進国が多く、これらの国が主体となって調査研究を進められる下地があるのに対し、島しょ国は開発途上国が多く、海洋調査研究に充てる資金が限られていることが原因であると推察される。
さらにGOOSやArgo計画の認知度については、非島しょ国がほぼ全ての機関が知っていたのに対し、島しょ国は全体に認知度が低く特にArgo計画の認知については半数の機関が知らない状況であった。これは島しょ国の多くが開発途上国であることに伴う情報量の差が現れたものと思われるが、一方Argo計画への協力の意志については島しょ国と非島しょ国で差は少なく、島しょ国の国際協力への意欲は決して低くはないことがわかる。