はしがき
近年、世界各地で異常気象が頻発しており、それによる被害が増大しています。この異常気象の背景に気候の変化があることは明らかで、気候変化による異常気象の発生は、今や全世界的な問題となりつつあります。今日、気候の変化をまず予測し、それに対処する方策を見出して人類の将来を安泰なものとすることが、人類に与えられた大きな課題になっています。
このように気候変動は、異常気象の頻発や潮位の上昇を招くなど、社会的に厳しい影響をもたらすのではないかと憂慮されており、今や気候予知は人類の重大な課題となっています。一方、地球表面の7割を占める海洋の状況は、気候を左右する主要な因子であり、その解明は気候予知にとって必須の条件とされています。残念ながら海洋に関する既存データは不足しているので、海洋観測をこれまで以上に促進することが望まれています。その意味で、世界的規模での海洋観測計画であるArgo計画の進展が大いに期待されています。
本事業では、まず世界の島しょ国や沿岸国、並びに我が国の海洋または気象関係機関、海洋事業関係者に気候予知のための海洋観測の重要性をアピールするとともに、海洋観測の促進に向けた課題に対する調査を行い、昨年10月に開催した国際会議において、その集約結果を国内外の海洋専門家に提供するとともに、当該調査結果を検討素材として海洋観測促進に向けた方策を検討致しました。また、その夜に開催した講演会において、的確な気候予知のためには海洋観測の促進が重要であること、それにはArgo計画等の全球海洋観測網の確立が不可欠であることを広くアピールしました。
この事業は日本財団の平成12年度助成金事業により実施したものです。この事業を推進するにあたり、ご指導を頂きました委員の方々に厚く御礼申し上げます。
平成13年3月
財団法人 日本気象協会
会長 石月昭二