・風速測定範囲が1〜28m/sと限定されており、勢力の強い台風の中心付近の強風が十分に表現されていない可能性がある。
・測定理論上は風向風速の観測値が4組得られ、それらの内から最適と思われる解が選ばれているが、選択の際に技術上の問題が多少残り、特に風向にその影響が大きいと言われている。
このように衛星データの解析には観測精度上の制限は存在するが、海洋上の広範囲の風向風速データが得られることは非常に有益である。衛星データを利用して4次元同化を行い、数値予測モデルの計算精度を上げる試みも盛んに行われており、多方面での利用が期待されている。
なお、本調査の解析結果に基づく台風域内の風分布のモデル化については5章で説明したので、そちらを参照されたい。
参考文献
宇野木早苗、1993:沿岸の海洋物理学、東海大学出版会、285-287
高橋浩一郎、1969:総観気象学、岩波書店
財団法人日本気象協会、1982:港湾気象海象要覧 東京湾、港湾気象海象シリーズ1]、172-176