まとめ
1. 研究成果
本事業では、神戸海洋気象台が蓄積してきた歴史的な船舶海上気象観測データを約36万通電子媒体化した。これにより、平成7年度から継続して電子媒体化してきたデータと合わせると、合計約229万通の「海上気象報告」が電子媒体化された。
これらのデータは気象庁において品質管理され、CD-ROMに納めて国内外の気象海洋機関や大学等へ配布する予定である。
北太平洋西部における台風活動と環境要素との関連性を解析した結果、台風活動はエルニーニョ現象、西太平洋熱帯域東部の対流活動及び北太平洋の亜熱帯高気圧等に関連があることが明らかになった。この関連性は北大西洋におけるハリケーン活動と環境要因との関係と異なり、太平洋独自のものであることが示唆された。
解析作業部会によるデータ解析の結果、神戸コレクションデータは多くの研究に利用できることが示された。このデータセットを解析することより、多くの新たな科学的知見が得られた。
2. 今後の課題
過去6年間の事業で約229万通のデータを電子媒体化したが、残り約160万通あまりがまだ電子媒体化されないままである。マイクロフィルムは時間と共に劣化するので、これらのデータをできるだけ早く電子媒体化する意義は大きい。
本事業において電子媒体化されたデータは、品質管理されて国際的なデータセットと統合される予定である。これら歴史的なデータは地球環境変動の研究にとり大変貴重なものである。今後はこのデータが多くの分野で利用されることが望まれる。
気候変動の解明には長期間蓄積されたデータが不可欠であるが、残念ながら1940年代以前のデータが十分ではない。この事業を契機として、国内外の気象および海洋の諸組織が持つ紙ベースのアナログデータが、電子媒体化される動きが加速することを願いたい。