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6 考察

陸上の固定観測点には該当しない要因のために、COADSデータの気候ノイズは、かなり大きいだろうとの想定とは裏腹に、陸上データよりも明らかに小さい(表−1)。この結果の解釈に対して、(1)式がヒントを与えている。時間平均データのノイズは、その標準偏差σmに関係しているので、ノイズは、日々の変動の指標である標準偏差σの大きさに影響されていることが示唆される。陸上に比べて、海上気温の日々の変動の小さいことが、表−1の結果の原因である可能性が大きい。

 

表−2 日平均気温の標準偏差(単位は℃)。南方定点の日平均気温は、1日8回観測より求めた。

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そのために、南方定点と同じ位の緯度の名瀬における日平均気温の日々のデータから、標準偏差を求めて、結果を表−2に示した。南方定点での夏季の標準偏差は、陸上の値の約70〜80%であることが明らかになった。この結果は、次のように解釈される。海水の大きい熱容量のために、大気の温度変化に対する海上気温の応答が鈍感であることが原因である。表−2は、海の大きい熱的慣性がCOADS気温データに小さい気候ノイズをもたらしたとの想定を裏付ける。

 

7 結語

気候変動の実態把握には、COADSデータが重要であることは多言を要しない。その重要性に比例して、この種のデータの信頼性の確認も重要である。ここでは、南方定点の観測データを基準として、COADSデータの信頼性を再確認した。6月から10月の暖候期に限定された南方定点観測データを利用したこの研究の結論が、寒候期に当てはまるかどうかは今後の研究に待たねばならない。

 

謝辞

南方定点の観測データは、気象庁の気候・海洋気象部の櫻井邦雄氏と八木勝昌氏から与えられた便宜により利用できた。また、日本気象協会関西支社の坂井紀之氏には、COADSデータを解析しやすい形に編集して頂いた。これらの方々の協力を得て、この研究が進展したことは確かであり、これらの方々に謝意を表したい。

 

 

 

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