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2.3.4 解析結果

表2.3.2および表2.3.3に今回の解析結果を示す。表2.3.2、はQMDの結果である。この表の見方は表2.3.1に同じであり、環境要素別に台風活動の指標との関係を示している。つまり、a〜iの環境要素の上位年・下位年それぞれ25%における、1]〜7]の台風活動の平均値および双方の差の有意性を示している。ここで、各環境要素の上位年・下位年に採用した年および計算に用いたデータは巻末の付録に掲載した。また、表2.3.3は台風活動と環境要素の相関係数および相関の有意性を示している。以下にこれらの表から得られる各環境要素と台風活動の関係を述べる。

a、b Nino3.4SST、SOI

Nino3.4SSTおよびSOIに関しては、970hPa以下の台風日数(以下N970)と平均強度のQMDおよび相関係数が有意水準99%レベルで統計的に有意である。すなわち、La Nina年に比較してEl Nino年のN970は多く、発生する台風の平均強度が強い。北大西洋のハリケーンの場合には発生数において有意な差が検出されたが、北太平洋の台風の場合には有意な差は見られない。ただし、Chan(1985)等が指摘するように台風発生数はLa Nina年に比較してEl Nino年に少ない傾向にあるが、反対に970hPa以下・920hPa以下のいわゆる強い台風発生数はEl Nino年に多い傾向にあることがわかる。

c 成層圏QBO

QBOに関しては、N970のみ90%レベルで統計的に有意な差が検出された。しかし、ハリケーンの場合のように双方の相関関係は顕著でない。またハリケーンの場合にはQBO西風偏差の年にハリケーン日数が多いが、この場合には逆の結果となっている。これはGray(1994)の指摘に一致している。Chan(1985)が指摘したように、北太平洋西部の場合QBOの台風活動に与える影響は非常に小さいため、この方法での検出は困難であるのかも知れない。

d 北太平洋西部のSST

この解析では、北太平洋西部低緯度全域のSSTの年々変動と台風活動との間に有意な相関は得られない。そこで、北大西洋西部を緯度経度10度格子に海域に分けて各格子毎に台風発生数とSSTの関係を調査した。しかしながら、どの格子についても双方の間に顕著な相関は得られなかった。ハリケーンの場合においても、他の環境要素に比較してSSTの年々変動とハリケーン活動の相関関係は小さい。これに関してRaper(1992)や Shapiro and Goldenberg(1998)は、SSTの年々変動は対流圏の循環と必ずしも同位相ではなく、北大西洋の熱帯低気圧活動の変動にあまり貢献していないと報告している。詳細な解析が必要ではあるが、北太平洋の場合も同様な見解が当てはまるのかも知れない。ただし、ここでは選択した海域の広さが台風の空間スケールよりも大きいため、海域の選定に問題があったのかも知れない。

 

 

 

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