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10. 交通エコロジー・モビリティ財団の取り組み

(1) 自動車税制のグリーン化の支援

1997年4月、運輸政策審議会総合部会「運輸部門における地球温暖化の対応方策について」の中で、自動車関係税制のグリーン化による経済的誘導施策を強力に推進することが提言されました。

当財団では、自動車税等のグリーン化が効果があるものかどうか、1997年度事業として「環境負荷低減型税制に関する調査」を実施し、シミュレーションを行った結果、大いに有効であることが判明しました。1999年には、11月に「地球温暖化防止シンポジウム」を開催、自動車関係税制のグリーン化が果たす意味について、幅広い意見交換を行いました。12月には、「地球環境とクルマ社会の共存を語る集い」を、地球環境とクルマ社会を考える市民の会並びに(財)運輸低公害車普及機構と共催しました。

次いで、2000年11月には、「環境と自動車」について考えるシンポジウムを、(財)運輸低公害車普及機構並びに(財)日本電動車両協会と共催しました。シンポジウムには、二階元運輸大臣をはじめ、与党三党の交通部会長が出席し、税制導入への積極的な支援の表明があった後、有識者による活発な論議が繰り広げられました。

なお、2000年12月、与党税制改正大綱が正式決定され、燃費や排ガスの量に応じて自動車税(都道府県税)を増減するグリーン化税制が具体的な形で2001年度から導入される見通しとなりました。

 

(2) 車依存型ライフスタイルからの転換の推進

地球温暖化を防ぐためには、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会構造を変え、「便利で、快適な」生活を多少犠牲にしてでも私達のライフスタイルを変更し、環境への優しさを考えていかなければならないと考えられます。このような試みを交通分野に導入するため、次のような取り組みを行っています。

 

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近畿日本鉄道養老線

 

1] 鉄道車両内への自転車持ち込みに関するモデル事業

鉄道は二酸化炭素排出原単位が最も低い輸送機関であり、また、自転車は化石エネルギーを使わない移動手段であることから、鉄道の車両内に自転車を持ち込むことができれば、通勤、買い物、旅行等の際、マイカーの利用をひかえて、環境の改善に貢献することができます。

そこで、1998年度及び1999年度に、マイカー利用者の意識転換を図るため、都市部の生活路線、郊外の観光路線等を含む8事業者12路線について、鉄道車両内への自転車持ち込みモデル事業を実施しました。現在も近鉄養老線、三岐鉄道、松浦鉄道において継続して実施されています。またモデル事業実施事業者以外の鉄道事業者でも山形鉄道フラワー長井線などにおいて新たにサービスが始められています。

2] 自動車共同利用システム

都市部での車使用の新しいあり方として、十数年前にドイツやスイスで始まった、複数の個人で車を共同利用するカーシェアリングという手法が普及しつつあります。現在では欧州全体で約200の組織で行われ、会員数は13万人以上とも言われています。その効果ですが、個人の意識変革に大きく役立つものであり、公共交通機関の利用が増えるとか、車の使用量が減少する(当財団の調査事例ではスイスで7割も減少した例もあります)ほか、駐車場空間の節約をはじめとした都市空間の有効利用にも資することが指摘されています。

2000年度は、自動車共同利用システムのわが国での普及可能性について検討するためにレンタカー会社、自動車メーカー、デベロッパー等からなる研究会を設置し、海外事例、法規制面の課題、採算性等について検討しています。

2001年度には、自動車共同利用システムの実用化がより早く進められると考えられるガソリン車を用いたカーシェアリングのモデル実験を行うこととしています。また、実際の実用化で問題となると思われる使用料の徴収のシステムも実験する予定です。

 

 

 

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