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(5) 交通部門におけるCO2以外の温室効果ガスの排出

メタンは、ガソリンや軽油がエンジン内で燃焼される際、これらの一部が分解することにより生成、排出され、1994年度では、我が国におけるメタンの排出量のうち約5%が交通部門からの排出となっています。現在我が国では、自動車に対する炭化水素(メタンも含む)の規制が実施されており、技術の進歩に伴い段階的に強化されています。

亜酸化窒素は、主として、エンジンから排出される排出ガスを浄化するための触媒を通過する際に、副成・排出されています。亜酸化窒素の排出量を把握する研究は始まったばかりであり、今後も引き続き、亜酸化窒素排出削減の研究を続ける必要があります。

HFC(ハイドロフルオロカーボン:オゾン層を破壊しない代替フロン)は、カーエアコンや冷蔵庫の冷媒等に用いられており、その廃棄の際に大気中に放出されることが知られています。今後とも、回収を徹底すると同時に再利用、破壊等の対策を講じていく必要があります。

 

コラム:未利用エネルギーの活用

交通機関のCO2やNOx等の排出を抑制し、交通システム全体として環境負荷を少なくするために、今までは利用されなかったエネルギーを活用するための技術開発が進められています。

例えば、波力を電力に変換する防波堤の開発や、廃熱の利用等による地域冷暖房システムの導入、太陽電池発電の駅ビルの照明や航路標識への利用、港湾や海域における風力発電施設の導入等があげられます。

(a) 環境にやさしい灯台

海上保安庁では、灯台や灯浮標等約5,500基の航路標識を設置・管理していますが、海上、離島、岬、岩礁、浅瀬等に設置される航路標識は、その立地条件の特殊性から商用電源の利用が困難な場合もあり、商用電源に代わるエネルギーの確保が必要不可欠です。

これらの航路標識の電源確保に際しては、風力、太陽光、波力といった自然エネルギーの利用拡大が図られており、現在、全基数の約30%にあたる約1,600基の灯台、灯浮標等の電源に自然エネルギーが利用されています。

 

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(b) 太陽光発電システム

太陽光発電は、火力発電と異なり、CO2等の排出ガスを全く排出しないクリーンな発電方法として、その普及が期待されています。

新東京国際空港においては、空港内3ヶ所に合計約120kwの発電能力を有する太陽電池パネルが設置され、空港内の照明等に利用されています。これは、空港における太陽光発電システムとしては日本最大です。

 

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