I. 2000年における交通環境をめぐる動き
交通は、経済社会活動の基盤であり、豊かな暮らしを実現するために欠くことのできないものです。しかし、その一方で、自動車等の交通手段によりエネルギーが大量に消費され、結果として地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)や大気汚染の原因となる窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)等、環境に負荷を与える物質が多く排出されています。
特に自動車は、我が国全体の、CO2排出量の約2割、大都市部におけるNOx排出量の約4割(クレーン車、フォークリフト等の特殊自動車を加えれば約6割)を占めており、環境負荷の低減を図るための施策を講じることが緊急の課題となっています。
■気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)
近年、全世界的に温室効果ガスによる地球温暖化問題がクローズアップされ、温室効果ガスの排出削減に対して積極的に対策を講ずる動きが活発になっています。
1997年12月には、気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において、京都議定書が採択され、我が国の温室効果ガス排出量を2010年前後に1990年比6%削減することを約束しました。この目標を達成するため、交通 部門では、何も対策を講じなければ、温室効果ガス排出量が1990年比40%増となるところを、CO2を1,300万トン削減することにより、17%増に抑制することを目標としました。
こうした中、2000年11月には、オランダのハーグで気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)が開催されました。今次会合では、京都議定書の早期発効を目指し、森林によるCO2の吸収の排出量の算定方法、クリーン開発メカニズムや排出量取引等の京都メカニズム制度の具体化について締約国間で様々な議論が展開されました。しかし、締約国間の合意に到らず、会議は一旦中断し、引き続き議論が行われることになっています。
AP/WWP