5] 輸送手段別実験結果の分析、評価(販売店→リサイクルセンター)
指定引取場所→リサイクル工場までの2次輸送について前項4]の実証実験結果に基づき、それぞれについて分析、評価を行った。
ア. 実験結果のまとめ
・実験結果の整理(荷役作業、振動衝撃、容積と積載率)
イ. 輸送コストとCO2排出量の検討
・輸送業務分担と輸送コストの検討
・ルート別のCO2排出量の試算
ウ. 海上輸送システムの評価と課題
・海上輸送システムのメリットの整理
・海上輸送システムの整理
・海上輸送システム事業化の課題の整理
6] まとめ
本調査では、海上コンテナを利用した内航コンテナ船、台船、フェリー、陸上トラックによる家電リサイクル品の実証実験を行い、家電リサイクル品の積卸作業、コンテナの荷役作業、輸送中の振動衝撃、コンテナの積載率などについて調査した。その結果、家電リサイクル品の積卸作業やコンテナの荷役作業は比較的効率的な作業を行うことができ、海上輸送システム利用上の障害とはならないことが確認できた。また、海上輸送の振動衝撃は陸上輸送トラックに比べて少なく、陸上トラック輸送を含め無包装で輸送しても問題ないことがわかった。国際海上20フィートコンテナの積載率については積付方法にもよるが70〜80%程度の積載率(容積率)を確保できることがわかった。
今回の実証実験で得られたデータなどに基づき、神戸港から北九州の区間についてCO2排出量を積算した。その結果、海上輸送システムは陸上トラック輸送の1/4〜3/4になり、環境負荷低減に有効であることが検証された。
以上の実証実験結果から家電リサイクル品の海上輸送システムは陸上トラック輸送のみのシステムと同等以上の輸送サービスを提供できることが確認できた。しかしながら海上輸送システムを事業化するにあたり、法的課題として、1]1本のコンテナの保管に広いスペースが必要、2]飛散防止のためにコンテナ全体が入る施設が必要、などの廃棄物処理法上の規制がある。この他に事業化に向けた課題として、1]2社・5社グループ共同処理によるリサイクル工場の高度化・集約化・大規模化、2]臨港地区にリサイクル工場や指定引取場所を設置、などがあげられる。こうしたことから海上輸送システムを事業化していくにはこれらの課題の解決に向けた働きかけが必要である。