MITの先生と話をしたら、かれらはアジアの途上国でこのカーシェアリングがどういう意味を持つのかということに関心を示していた。これも新しいテーマだと思われるが、ステータスシンボルとして車を持つのであれば、実体的なシェアリングを行ったとしてもやはり車を所有してという形になるのではと思われる。しかし、公的に支援することで別の形のシェアリングが成り立つかもしれない。
インフォーマルに隣近所や兄弟・家族でシェアリングしていたものを地域で公共的にシェアリングすることでどんな展望があるのか、そこに公共サイドでどんな支援をすべきか、その辺を今後の調査、実験で確かめていきたいと考えている。
(注) 資料1−太田勝敏「マイカーに代わる新しい交通手段-車共同利用(カーシェアリング)の動き」『地域開発』97.7
資料2−太田勝敏「マイカーに代わる新しい交通手段-カーシェアリングの新展開-」『都市問題研究』第50巻第11号 1998年
◆リュプケ氏紹介 青木英明 共立女子大学家政学部助教授
フライブルクはドイツ南西部のバーデンブルテンベルク州にある人口20万人の都市で、黒い森(シュバルツバルト)の南の端に位置する。音楽大学があることでも有名。観光都市でもある。また、環境にやさしい施策を実行しているモデル都市としても有名である。
リュプケ氏は、第一に、南バーデンカーシェアリング組合/フライブルク自動車共同組合の創始者のひとりであり、役員でもある。第二に、フライプルクのヴォバーンというカーフリーシティーの代表・設立委員である。第三に、フライブルク中央駅にあるモビリティセンター並びに「モバイル」という名称の貸し自転車システムの経営者である。
フライブルクは元々市民活動が盛んな土地である。かつて、近郊のカイザーシュテールに原発計画が持ち上がり、学生や市民が原発反対運動を操り広げたという歴史がある。
カーシェアリングはスイスのチューリッヒで生まれ、ベルリン、フライブルグへと伝わった。その後、ECS(ヨーロッパカーシェアリング組合)というヨーロッパ全土をカバーする組織ができたが、フライブルクなどはこれと袂を分かち、1998年に設立されたドイツ・カーシェアリング・クラブに所属している。ドイツ・カーシェアリング・クラブは公共交通を目指しているという。詳細は彼の講演に委ねたい。
◆リュブケ氏講演
太田教授からカーシェアリングの今日の動向、発展の方向についてわかり安く説明頂いた。私も太田教授と同様の認識を持っている。
私はカーシェアリング生みの親の一人であると自負している。南バーデン州カーシェアリング協会の経営者である。社会福祉・環境指向型住宅地区ヴォバーン・プロジェクトの発案者の一人であり、その実現のための協力もしている。