1] 車のための空間整備コストの削減化
車の寿命のほとんどの時間(90-95%)は駐車時間で、移動の道具であるにもかかわらず、停めておくために都市空間、都市施設の膨大なスペースを占有している。車の絶対量の減少は直接、この建設コストの節約効果があるとともに、その空間を他の用途に転換することができるので、経済的効果、街の活性化をもたらす。
原単位としての効果は以下の通りで、カーシェアリングが日本で受け入れられ、どの程度の普及率となるかにより社会全体としての効果を量的レベルまで示すためには、今後の実験等さらに研究を進めていく必要がある。
・建設・整備コスト
車の利用距離、頻度が総体で少なくなると交通量の減少、駐車機会の減少で道路や駐車場の施設必要面積も減少することが多少期待できるが、最も大きな効果は車一台に一カ所の保管場所としての駐車場である。
平面駐車スペース
・道路内駐車スペース 幅2.5m×長さ6mとして15m2 約15万円
・平面駐車場 一台あたり概ね22m2 約22万円
建造物内
・地上 構造物、スロープ等を含め約30m 約3〜600万円
・地下 (道路下の地下駐車場で一台当たり4000万円の例がある)
●土地(建設敷地)としての価値
日本の中心市街地では、坪100万円前後の価格であるので車一台分の駐車場コストも相当であるが、地区レベルで考えると膨大な金額となる。
(たとえば、駐車場に容積300%の建物ができると、事務所ビルとすると、車一台分で6-7人が利用できる。飲食店では30-40席が出来、都市活動への効果は計り知れない。)
○カーシェアリングの普及による車の保有数の削減効果
これを東京都区部で試算すると、平成9年自動車保有台数は185万台(7年間の伸び率7%)
平成16年間での7年間と同じ伸び率とし、カーシェアリングの普及率を1%とすると、
1,850,000×(1+0.07)×0.01=19,795人 従って、18,475台削減される。
増加分はこのままだと1,850,000×0.07=129,500台であるが、
カーシェアリングが1%普及すると111,025台にとどまり、伸び率は6%に抑えられる。
駐車場の面積削減分は、平面駐車場とすると18,475×22=406,450m2、すなわち40haとなる。