2. 期待されるカーシェアリングの概要
1) カーシェアリングへの期待
平成11年度において、環境に配慮した交通分野からの努力のうち、個人利用の車の使い方を見直し軽減する方向として、マルチモーダルの推進のため、「車からの転換」と「新しい車の利用方法」が重要と位置付けてきた。その中で、エコ交通の視点から、自動車の共同利用が今後期待できる交通分野であると考えてきた。
自動車の共同利用の中でも比較的普及が容易で、個人レベルの努力で効果が上げられ、その波及効果も絶大なカーシェアリングに注目した。
ここで目指すカーシェアリングは、公共交通としてみんなで都市内で使うのではなく、一台の車を個人所有でなく共有することがベースであり、自分の車のように使える素朴な形式のカーシェアリングである。
これからの新しい車の使い方として位置づけとして、個人にとって経済性等メリットがあると同時に、社会全体に対しても様々な利点があると期待されている。
○カーシェアリングの特徴/効果
1] 個人レベルでは車所有の利便性が多少制約されても、それに勝る経済性が認識されれば利用者は増加する。
2] 駐車している車が減ることによる都市空間の占用が減少し、主たる効果として都市整備の効率が上がるという環境面、財政面での効果も期待できる。
3] 総体として交通量が減少し渋滞緩和も期待できる。資源消費や廃棄物が減少する効果もある。広範な普及により、環境面での改善に効果が期待できる。
2) カーシェアリングのメリット…[成立のための諸要因]
ヨーロッパでの普及の理由を鑑みて、カーシェアリングの個人的なメリット、及び、社会としてのメリットを以下に整理した。
それぞれのメリットを分析することは、今後の普及のための有効な手だて、方策を考えるヒントになる。カーシェアリングを選択する理由は、様々な要因があり、それに関連したサービス等の提供により、その設定次第で、カーシェアリングの普及度に大きく関わる。すなわち、これらの要素はカーシェアリングのニーズや市場性に関わる事柄である。
カーシェアリングの普及は、社会に様々な効果を及ぼす。こうした効果が確認される新しい車の使い方であるならば、普及のために公的支援を積極的に進める必要性もある。運営コスト等を軽減することと、利用者への直接的補助などがあれば、さらに普及促進されることになり、効果も増大する。