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IV-4-1-1-3. 海水等の影響

海上交通特有の問題として海水等の影響の問題がある。

高齢者や障害者等の移動に伴う海水等の影響は、濡れに伴う問題が主となる。

濡れの問題とは、海上交通施設のうち、屋外部分(船舶の遊歩甲板等も含む)では、海面に近い部分にあるため、雨天時や積雪時以外においても波しぶき等により常時海水にさらされている場合がある。このため、陸上施設以上に濡れにより床面が滑りやすくなり、高齢者や障害者等の移動時にすべって転倒する等の危険があるという問題である。

 

IV-4-1-2. 海上交通施設構造上の問題点

IV-4-1-2-1. 段差(いわゆるコーミング段差)

船舶には、船舶構造規則第39条で「コーミング」と呼ばれる水密機構を保つ設備が必要である。

コーミングの高さは、船舶の種類や設置場所の海面からの高さ等によって異なっており、主に出入口や車両区域の出入口に設置される。

コーミングは、船舶の安全性を確保する上で必ず設置しなければいけない設備であるが、車いすを利用する肢体障害者にとっては、乗下船及び船内を移動する際の妨げになるばかりではなく、高齢者や車いす使用者以外の歩行困難者、視覚障害者等にとってもつまずいて転倒する等の危険があるため、高齢者・障害者等が海上交通を利用する際に大きな障壁となる部分である。

 

IV-4-1-2-2. 通路幅

手動車いすが通過できる通路幅は800mm以上とされている。しかし、既存の船舶では舶のスペースの制約上、小規模な船舶を中心に800mmの通路幅の確保がされていない船舶が多いという問題がある。

 

 

 

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