II-4-5. 情報提供の問題点とニーズ
1] 船の発着時間、到着時間に関する情報は、電光表示と音声の両方で提供して欲しい(聴覚障害者、高齢者)
2] 船内の案内は音声によるもの(放送)が中心なので、電光表示による情報提供もして欲しい。特に荒天でゆれる際の情報を電光表示して欲しい(聴覚障害者)
3] 船内放送が聞こえずに到着地で船内に取り残された経験がある(視覚障害者)
4] 洋式トイレの位置など船内施設の表示を大きな字で表示して欲しい(高齢者)
5] 船内案内図だけでなく音声による案内もして欲しい(視覚障害者)
6] 到着港で接続するバス、タクシー等に関する情報提供ニーズが高い(高齢者、車いす使用者)
旅客船ターミナルと船内における情報提供についての問題点とニーズについては、船の発着時間、到着時間に関する情報提供のニーズが最も多かった。今回の調査対象航路においては電光表示等の文字情報による情報提供施設が設置されていない旅客船ターミナルや船舶が多かったため、聴覚障害者からは文字情報等の視覚で認識できる情報提供を望む意見があった。一方、高齢者や視覚障害者にとっては音声による情報提供に対するニーズが高い。ある視覚障害者は、大型のフェリーを利用時に船内放送を聞き逃してしまい到着に気が付かず、船内の清掃の職員に発見されて下船した経験をしており、どこでも聞き取りやすい音声による情報提供が求められている。さらに視覚障害者の中には、糖尿病等により比較的高齢になってから視力を失った人もおり、こうした人にとっては点字表示を読むことができないケースも多く、音声による情報提供は旅客船ターミナル、船内の双方において重要であると考えられる。
なお、今回の調査対象航路は複数の寄港地を持つ航路は少なかったため、船内での到着地や次の寄港地と入港予定時刻等に関する情報提供ニーズは聞かれなかった。
船内施設に関する情報提供ニーズは、洋式トイレ(腰掛け式便座)の位置に関する情報提供ニーズが高かった。高齢者や障害者にとって利用しやすい洋式トイレ(腰掛け式便座)についてのニーズが高いことを反映していると考えられる。
また、到着港に関する情報では、接続するバスやタクシー等に関する情報提供ニーズが高かった。高齢者や障害者等が海上交通を利用する場合、離島側では家族や近所の人に送迎をしてもらっているケースが多いが、本土側ではバスやタクシー等の公共交通機関を利用しており、車いすでも利用可能なバスやタクシー等に関する情報提供に関するニーズも高かった。