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II-4. 海上交通における高齢者や障害者等の接遇・介助上の主要な問題点の整理

II-4-1. 海上交通の利用状況と接遇・介助の現状

1] 高齢者や障害者は、家族の介助で海上交通を利用(一人で利用できない)

2] 介助のために同乗する家族も高齢化しており、船員等の介助のニーズが高い

3] 高齢者や障害者の介助は、船員や周囲の人の個人的な対応としての要素が強く、地域や航路によって対応が異なっている(組織的に行われていない)

 

高齢者や障害者等の海上交通の利用は、「病院等への通院」目的での利用が最も多く、配偶者等の家族が付き添って利用しているケースがほとんどであった。一方、高齢者や障害者等が一人で「買い物」や「通勤・通学」といった用事で利用しているケースはほとんどみられなかった。その理由として、「一人では心配」といった意見もあり、高齢者や障害者等が一人で海上交通を利用することは難しいという現状が改めて確認された。

「病院等への通院」時には、乗降時の介助や船内での介助については、家族が行っているケースが多い。しかし、高齢者の中には介助の付き添いとして同行する配偶者自身も高齢のため十分な介助ができなくなっているケースも多く、旅客船事業者の職員等による介助の必要性についての意見も多く聞かれた。

実際には、生活航路としてのウェイトが高い離島航路の場合は、船員、乗客とも「顔見知り」であるケースが多く、「誰かが介助してくれる」といったケースもある一方で、船員や周囲の乗客に介助を手伝ってもらえないといったケースもあった。

さらに、定期船の場合運航人員の関係から十分な介助が受けられないのできめ細かな対応をしてもらえる海上タクシーを利用しているとの意見も聞かれた。

こうしたことより海上交通における高齢者や障害者等に対する接遇・介助は個人的な対応として行われているケースが多いものと思慮される。

 

 

 

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