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資料編

 

資料-1 大阪市の地域密着型小型ノンステップバスのプロジェクト

 

(1) 導入経緯

1] 小型ノンステップバス試験運行開始の経緯

平成11年6月25日に『将来の大阪市営バス事業について』(公営交通事業改革調査委員会中間とりまとめ)が発表された。小型ノンステップバスの運行は、この中間取りまとめで提言された内容に即して開始された。

同委員会は学識経験者、助役、交通局長、財政局長、計画調整局長で構成されている。3つの部会があり、それぞれ、「地下鉄」、「バス」、「経営形態」についての調査を行う。

これまで市営バスの収支に関わる部分については、大阪市公営企業審議会の許可を得て運賃の値上げが実施されてきた。しかし、同審議会により、今後は赤字を理由にした値上げは認められないという方向が示された。平成9年1月の同審議会答申「大阪市交通事業の経営改善方策について」において、「市営交通事業はこれまでとは異質な環境にあり、経営の改善については、今までとは違った視野に立つ抜本的対策が必要である」と指摘され、民営化までをも視野に含めた抜本的な経営改革を行うよう答申が示された。

こうした内容を受けて公営交通事業改革調査委員会のバス部会の中間まとめでは採るべき方策として「タイプ別の路線編成およびサービス内容の再検討」を挙げた。これはバス路線が、機能的に大きく3つのタイプに分類されるにも関わらず、こうした機能分類を明確にせず画一化したサービスを実施している現状への批判的指摘である。ここで示された3つのタイプとは以下に示すものである(表1)。

 

表1 バス路線の3タイプ

1] 幹線系のサービス

需要の量が地下鉄ほど多くはなく、しかも道路事情がバスの運行に大きな支障を及ぼさない幹線系のサービス

2] フィーダー系のサービス

地下鉄のフィーダーサービス

3]コミュニティ系のサービス

市民の多様な日常生活上の移動ニーズに対応するためのサービス

 

1]と2]に関してはこれまでの交通局の取り組みとノウハウをもとに努力すればある程度の対応が可能な部分と考えられる。3]については、交通局としてではなく、行政が主体的に国への助成の要望等を含めて、住民ニーズに応える新たな低コストのよりよいサービスを創出する必要があると示された。また、サービスに際しては、既存のバスにとらわれない新たな手段の検討を含めたものにする事が明示された。

3]の具体的な検討内容の一つとして、中間まとめ後1年以内に、新たなサービスの方向性を探るためのコミュニティバスの試験運行を開始することになった。また、バスに乗らない人に対する潜在需要の調査等を、併せて実施することが決定された。

 

 

 

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