2] ウッデバラ(Uddevalla)市のフレックス・ルート
a. ウッデバラ市の概要
ウッデバラコミューン(以下市とする)はイェーテボリ市の北およそ80kmに位置し、人口4.9万人、中心部の人口は3.9万人の小さな街である。210kmの海岸線を有する複雑に入り組んだ地形が特徴である。この街でもイェーテボリ市同様にフレックス・ルートの運行が開始された。運行はウッデバラ・タクシー社が受託している。
b. 運行開始の経緯
ウッデバラ市においても前述のイェーテボリ市と同じく、STSについて新しい効率の良いサービスを生み出すことが模索されていた。既存のSTSの将来性を検討する中で、バスとタクシーの中間的なモードの有効性が議論されてきた経緯がある。
検討を行っていた1997年は、イェーテボリ市でフレックス・ルートの運行が開始されて間もないころである。ウッデバラではイェーテボリのシステムと類似したサービスを、よりシンプルな方法で実施できないか検討をすすめていた。
フレックス・ルートの導入を発案した事業者、市、ベストトラフィック社(スウェーデン西部地域を範囲とする公共交通事業体:民間企業であるが出資は自治体が行っている)の3者が協議し、現在のサービスが確立された。1998年7月から本格的な準備を始め、1999年1月には短期間で運行開始に至っている。
イェーテボリ市でのフレックス・ルートの事業を請け負っているのはウッデバラタクシー社である。同社は、25人の車両オーナーが出資して、33台の車両を保有する事業所である。従来よりSTSを受託運行しているため、他に5台のリフトまたはランプのついた車両と3台のフレックス・ルート用バスを有している。STSの運行は、1970年代にSTSが各地の自治体で開始されはじめたころに、「タクシーにも新たな領域が生まれた」という認識で、通院、通学の送迎を受託したのが始まりである。次第にSTSへの依存率が高まり、現在では安定した収入源になっている(国内の他の地域でも同様の状況にあると考えられる)。
c. 運行システムの概要
i) 利用資格と利用方法(予約方法)
ウッデバラ市のフレックス・ルートの利用者もイェーテボリ市同様、STSの有資格者に限定されていない。
利用者は乗車したい旨を電話により、遅くとも利用の1時間前迄に予約する。予約の際に自宅近くの乗車するミーティングポイント(以下MP)の番号を伝える。
ミーティングポイントでは大体の通過時刻が決められており、予約時に利用者に知らされる。あらかじめMPをいくつかのまとまりでグルーピングし、それに通過時刻を付与しているため、おおまかな時間の告知が可能である。