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2] 障害者オンブズマン制度の法的な位置付け

障害者オンブズマン事務局(Handikappombudsmannen)は1994年に設立され、障害者の権利と利益に関する問題を監視している。オンブズマンは障害者政策の全体目標である「完全参加と平等」の達成のために機能している。

このオンブズマンの活動は特別法によって定められている。その規定のひとつが、行政機関が障害者オンブズマン事務局に対する情報提供や同事務局との交渉の場に参加することを断ることはできないというものである。

オンブズマンは、法的な欠陥の是正方法を模索したり、具体的に修正案を提起するなどの活動を行う。また、障害者にとっての法的な問題点を改善するために、率先的な取り組みを行うものである。

法律に関する諮問の必要性は、障害者やその関係者の間だけの問題ではなく、こうした問題に取り組む人たちすべてにとっても、かなり広範な対応が求められるようになってきている。法的な問題に対する諮問活動は、障害者オンブズマンの任務の中核をなすものである。そのため組織内に法律の専門家を擁することの重要性にも力点が置かれている。

1999年5月には新法が制定された。就労における障害者の差別を禁止する法律である。同法は就労者および求職者を雇用側の差別から守るものである。オンブズマンは、この法律が雇用者に自主的に遵守されることを望んでいる。オンブズマンは、法廷において、障害者組織が望まない場合以外は、障害者個人を代表する権限を有している。

 

3] オンブズマン活動の目標

電話での相談サービスに加えて、オンブズマンは法律に関する基本的なアドバイスについて、ホームぺージ上で公開して情報提供を行っている。このようにして、障害者が彼ら自身の権利や利益を擁護するようになることが期待されている。

オンブズマンの中心的な任務のひとつが、1993年に国連で採択された「障害者の機会均等に関する標準規則」の普及と到達点の評価である。オンブズマンではこの標準規則が、例えば政府関係機関や地方の行政機関などで、十分に尊重されて実施されているか調査を行っている。具体的には、公共の場所へのアクセシビリティの達成度が最も問題のある点として明らかにされている。

ビジネス関連の分野では、全ての人にとって商品とサービスをアクセシブルにすると言う点で、非常に重要な役割を持っている。また雇用する側としての役割も非常に重要である。オンブズマンはこうした分野において、障害者への配慮を十分に行うようにするために、ビジネスの分野および民間事業者などとの連携を図ることにも取り組んでいる。

障害者団体との協力もオンブズマンの重要な任務の一つである。こうした州からの補助を受けている障害者の関連諸組織は、年に2回オンブズマンとの会合を持つことになっている。今後、交通のアクセシビリティの分野でも、このオンブズマンが具体的な活動を行う事例が出てくる可能性もあり、注目される存在である。

 

 

 

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