iv) 通常の公共交通との比較
障害者のための移送サービスは、既存の公共交通と以下の点で異なる。
・特別デザインの車両は座席で6名、車いすで3名まで乗車者が可能(図4-4-2-8)
・バスの乗り換えやバスから鉄道への乗り換えなしに、直接ドア・ツー・ドアで運行される
・通常の公共交通利用に比べて乗車時間が短くて済む
・個人の時刻表がある=利用者は希望の出発時間を設定することができる
・遅くとも1日前までに予約すれば良い
図4-4-2-8 ハンディキャップ・サービスの車両

車両の総重量は3.5t以下である。後部にリフトが装備されている。開始当時車両は6から7年で更新していたが、現在は2年程度で更新している。新規購入時には各事業者間で同車種を使うように指導すると同時に、ドライバーにもトレーニングを実施し、ハード・ソフト両面でのサービスの質を保っている。
表4-4-2-7 ハンディキャップ・サービスの車両基準
・車いすと乗客のシートベルト
・階段昇降機の使用義務化
・適切な大きさのリフトと車両
・車両の使用年限と間接的な運転快適性
なお、車両の必要基準として規定を設けている項目は表4-4-2-7の通りである。
v) 予約・配車システム
予約から運行計画の作成にあたる配車用のコンピューター・アプリケーションは、TR-HANDYといい、ほぼHTのオリジナルといえるほど、カスタマイズしたものである。
予約は顧客番号をもとに、電話が鳴ると電話番号から顧客を検索し、申込者の情報が端末画面に自動的に表示される(図4-4-2-9)。そのため予約は1分から1分半で完了する。ほかにも、予約はファックス、電子メールで行うことができる。第一希望の予約が入らない場合は、コンピューターが希望に近い時間を提案する。予約は3ヶ月前から前日午後4時まで受け付けている。ただし、前日の予約は希望通り受け付けられないことが多い。
毎日およそ800件の予約対応があり、そのうち85%がコールマネージメントセンターで受け付けられる。コンピューターが導入される以前の1994年まではすべての予約が手作業で、予約にかかる平均時間は10分以上であった。コンピューターの導入による合理化で、ハンディキャップ・サービスのスタッフは、管理3名、計画6名(24時間対応)、予約、配車6名からなる合計15名である。
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