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4-4 交通事業者のアクセシビリティ対策

(1) この節の概要

この節では交通事業者のアクセシビリティについての取り組みを述べた。

コペンハーゲンの交通事業体であるHTについて(2)で述べた。HTでは市内路線バスのローフロア化を進めている。また、1979年から運行されているスペシャル・トランスポートである、ハンディキャップ・サービスについて記述した。同サービスは、デンマークハンディキャップ輸送法により、デンマーク国内に同種のサービスが普及する際に、そのモデルとなった事業である。ハンディキャップ・サービスの事業仕組みやその課題等について整理した。

(3)では、デンマークの国鉄であるDSBについて述べた。現在は半民営化され、一部は民間事業者に外部委託して効率化のための経営改善を行う組織変化の過渡期にある。DSBの鉄道におけるアクセシビリティ対策、およびDSBが事業を担うことになった全国規模のスペシャル・トランスポートについて、その概要を述べた。DSBのハンディキャップ・サービスは上述のハンディキャップ輸送法により開始されたものである。HTのハンディキャップ・サービスとの連携、鉄道を含めた連続的な利用が考慮されている点が特徴と言える。

 

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1] HTの事業概要

HT(コペンハーゲン交通事業体)は、都心部にあった12のバス会社が合併して1974年に設立された。HTの管轄地域はCopenhagen市、Frederiksberg市を中心として、Copenhagen、Frederiksberg、Roskildeの各県を含む。このエリアはデンマークの人口のおよそ3分の1にあたる約170万人の人口を擁する(図4-4-2-1)。HTの行政上の管理は大コペンハーゲン議会(the Greater Copenhagen Council)が行う。また、地下鉄がなくバス交通がメインであるコペンハーゲンでは、鉄道に関しては、図4-4-2-1(右)のようにS線という国鉄が主要な鉄道ネットワークになっている。

 

 

 

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