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この点では、全ての人が一様の生活経験をしているわけではないという点も心にとめておく必要があります。

こうしたお客さまのニーズを把握し、円滑に移動してもらうための適切な接遇・介助の知識と技術が求められています。

公共交通機関を利用するうえでの介助は大きく分けて、前頁図のように移動系の介助、情報系の介助、緊急時に分けることができます。障害の種類や程度、個人の特徴により、主に移動の介助が必要な場合、情報提供の介助が必要な場合、両方必要な場合など、ニーズは様々です。緊急時の対応については、各事業者の緊急時対応マニュアルによるので、本書の中では触れていませんが、移動系、情報系ともに、日常に増して介助のニーズが高まります。

 

4] 車いすを使用しているお客さま、肢体の不自由なお客さま

車いすを使用している人を始め、肢体の不自由な人にとって、日常的に円滑に公共交通機関を使う事は、まだ難しい状況にあります。ちょっとした段差や坂道でも、移動の大きな妨げとなります。こうしたお客さまには、主として移動の介助が必要になります。

車いす以外にも松葉杖、義足など、様々な歩行補助具を使用している人がいます。これらを使う人は、移動はできますが、健常者のように長い距離を歩いたり、段差やスロープを越えたり、迅速に移動したりすることは困難です。杖歩行の場合スロープでは滑りやすかったり、また義肢を装着している場合には、スロープの角度により歩きにくくなります。膝が折れないように下肢をまっすぐに踏ん張ることができないためです。加えて、車内では直立時の安定性が低く転倒の危険性があるため、多くの場合、座席を必要とします。

ほかにも歩行移動に困難を感じている人として、妊娠している人、ベビーカーを押している子供連れの人、一時的にけがをしている人、外見上わかりにくい内部障害の人などが挙げられます。

高齢の方や内部障害の方など、何らかの理由で歩行困難になっている人の中には、長距離の移動が難しい場合があります。高齢の方には100m〜300m程度歩いたら一休みすることが必要な人もいます。このような方々は、例えば、空港内の移動など、平坦な部分でも、その移動距離が長いために一時的に車いすを使用することがあります。しかし、ちょっとした階段などは車いすを使用せずに歩いて昇り、また長い距離を移動する場合には再び車いすを使用することもあります。人により身体状況は様々であり、一時的に、または部分的に車いす等を使用する場合もあるのです。

車いすを使用している人には、別表(巻末資料)のように、切断、脳血管障害、脊髄損傷、脳性麻痺、進行性筋萎縮症、リウマチ性疾患の人などが考えられます。また、一時的なけがによる使用も考えられます。外見上は車いすを使用しているという点で同じですが、それぞれに異なるニーズを持ち、介助の時に留意する点も異なります。

 

 

 

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