図3.32は表3.5の平均値をプロットしたものである。これによると平均歩幅が誘導ブロックの有無に影響を受けている可能性がうかがえる。被験者毎のデータに注目してみると、杖なし条件では、平均歩幅が「誘導ブロックあり<誘導ブロックなし」となる被験者が36人中32人おり、誘導ブロックによる情報だけで歩く場合は、歩幅が狭くなる傾向があると推測される。
そこで、4条件間の歩幅の差について被験者内要因を変数にして分散分析を行ったところ、歩行条件の主効果(F(2.37,78.17)=2.90, p=0.052:自由度はGreenhouse-Geisserの修正による)は有意であるとは認められなかった。得られたp値が0.05に近い値を示したので、引き続いて白杖の有無と誘導ブロックの有無を変数とした2×2要因の分散分析モデルにより分析を行ったところ、誘導ブロックの主効果(F(1,33)=8.00, p=0.008)に有意な差が認められた。なお、白杖の主効果と白杖と誘導ブロックの交互作用については、有意な差は認められなかった。
このことから、誘導ブロックの有無は歩幅に影響を及ぼす可能性があると考えられるが、その効果はそれほど大きなものとは考えられない。