まえがき
近年の電気・電子・無線技術の進歩と船舶の自動化・高性能化・近代化の進展によって船舶に搭載される電気・電子・無線設備等の電気設備はより高性能化し、その設備は増加の傾向にある。特に最近では高度な情報技術、デジタル化技術、衛星通信技術等の最先端技術が従来にもまして採用されるようになり、また、情報・安全・航法等の重要設備については、複数装備にすると共に供給電源が停止した場合でも支障がないように供給電源を2系統とし、2重配線とするなどの冗長性による信頼性の高いシステムが求められている。これに伴って電気設備等が高密度化し、電線の多様化と布設量の増大、無線アンテナも増加する傾向にある。
更に、船舶の高度化と技術の進歩に伴ってSOLAS条約、船舶安全法関係法令、船級規則等が度々改正されているが、中でも電気設備に係わる改正が多く、また、JIS規格についても電気設備の技術の進歩に伴う改正、国際化を図るためのISO、IEC、ITU規格の導入が進められている。特に平成11年に船用電線(JIS C 3410-99)がIEC規格に準拠して全面的に改正され、電装設計・工事に大きな影響を与えている。
このように急速に発展・変化する電気設備等は電装設計・工事をより複雑化させており、電装事業者はより高度な広範囲の知識を必要としている。
この電装設計・工事データ図表集は、船舶電装に係わる各種性能表、要素等を体系的に整理し、電気設備等の性能が十分に発揮され、かつ、信頼性の高いものとすると共に電装設計・工事を合理的に行えるような内容とした。本図表集の活用により、高度化された船舶の安全の確保と経済的な運航に寄与できれば幸いである。
本冊子の作成に際して、執筆や編集にご協力頂いた各委員の方々のご努力、国土交通省や海上保安庁等関係各位のご援助に深甚の謝意を表する。
平成13年3月