この送受の切替えは、TR及びATR管と呼ばれるガス入り放電管を使用することによって実現されており、いずれも送信時の強いマイクロ波エネルギーで放電し、受信波のような弱いエネルギーでは放電しない特性を利用している。ATR管及びTR管を使用した送受信切替え回路の例を図4・12に示す。
マグネトロンからの強力な電力がATR管に入るとATR管は放電により短絡し、エネルギーをそのまま通す。受信機への導波管の分岐点からλ/4の奇数倍の位置にあるTR管でも放電が起こり短絡する。ここでTR管の位置での短絡は、導波管の分岐点からみたインピーダンスは∞となるので、送信電力はアンテナヘと伝えられる。また、受信部は放電による短絡で保護される。受信時には電力が弱いのでATR管もTR管も放電して短絡することはない。受信時にはATR管は導波管の分岐点からλ/2の偶数倍にあるので分岐点から見たインピーダンスは∞となり、送信部を切り離した効果となる。
しかし、TR管はガス入放電管のため、使用しているうちに封入ガスの消耗等によってだんだん劣化してくるので、近頃はサーキュレータが使用されるようになった。