この穴はTV用では0.6mmのピッチで、コンピュータ用などの高精細度の分解能のものでは約0.3mmのピッチであけられ、穴径は、約0.2〜0.3mmとなっている。
正しい色を再現するためには、電子ビームを正確に蛍光体に当てる必要がある。このため、蛍光体のドットの直径とビームの直径とに差をもたせ、組み立て誤差や地磁気等の外部からの影響を除去する工夫がなされている。
蛍光面への蛍光体の塗り方は、シャドウマスクに対応して、ドット構成とストライプ構成とがある。TV用でドット構成(デルタ型)の場合は、各色は図3・14のように配列されて一つの組みとなっていて、各ドットは直径が0.3〜0.4mmで、ピッチは0.6〜0.7mmの間隔で塗られている。ストライプ構成の場合の蛍光体は、図3・15のように横方向におよそ0.2mm間隔の幅で塗られている。最近のものは各蛍光体を黒色物質で囲んで外光による反射を減少させ、コントラストの向上を図っている。
三本の電子銃からの赤・緑・青の各原色信号に制御された電子ビームの流れは、3・7・1項で述べた一本の電子銃の動作と同じである。電子銃から放射された電子ビームは各電極(電子レンズ)を通過し、赤・緑・青の各電子ビームをシャドウマスクの穴の一点に集束させて交差させ、蛍光面に当てて発光させる。シャドウマスクは、赤の電子ビームは赤の蛍光体のみに当たるように、また緑・青の電子ビームもそれぞれ緑・青の蛍光体のみに当てて発光させるように色選別を行っている。
シャドウマスクの穴に対応して、赤・緑・青の三色のドットが一つの組となるように塗布された蛍光面の上を、赤・緑・青の各電子ビームのバランスを取りながら蛍光面全体を発光させると、各発光色が混じり合って白色に光って見える。これに対し、赤・緑・青の三本の電子銃から放射する電子ビームの量を変化させると、捜査線上の各点の蛍光のバランスが変化して希望の色を発光させることができる。
カラーCRTの組立上のわずかな誤差や、地磁気等の外部磁界の影響によって電子ビームの軌道がずれると、ビームが蛍光体に正しく当たらなくなり、色むらや色ずれが発生する。この三色の画像の色ずれがないように重ね合わせることをコンバージェンスといっている。各電子銃は画面の中央で集束するようになっているが、この中央でのバラツキの補正は、CRTのネックの外側から磁石によって静集束補正を行う。一方、画面の周辺では、偏向することによって集束がずれてくるが、これはネックの外側にコイルを置いて偏向に同期した補正電流を流し、動集束を行う。