日本財団 図書館


030-1.gif

図3・7 ガンダイオードの構造

 

ガンダイオードは1963年にアメリカのガン博士によって発見されたガン(Gunn)効果を利用したマイクロ波の発振器である。この効果は、ガリウム砒素(GaAs)のN型の結晶の両端に直流の電圧(厚さ1cm当たり数千V)を掛けたとき、その結晶中を流れる電流が、結晶の厚さで決まる周波数で振動をするというものである。ガンダイオードの構造は図3・7に示すとおりで、GaAsの細片の両面に電極を取り付けたものである。この両電極に直流の電圧を加え、電圧を次第に高くしていくと、電圧が低い間は一定の抵抗を示して、流れる電流は電圧に比例しているが、この電圧が厚さ1cm当たり3,000Vを超えると電流は飽和して、逆に減少をするという負性の抵抗を示すようになる。これは、この半導体の中を流れる電子の移動速度が遅くなるためであって、こうなると陰極の付近に電子が固まって、陽極付近には電子が少なくなる。この電子の固まりはそのまま陽極の方に移動をして、陽極に達して大きな電流となるが、そうするとまた陰極近くに電子の固まりができる。こうして、ダイオードには振動電流が流れるが、電子の集団の移動速度はほぼ105m/sなので、GaAsの動作領域を10μmとすると、それを通る時間は0.0001μsとなり、10GHz周波数が発振されることになる。この発振周波数は、加えられる電圧や接続される空胴共振器の共振周波数によって、かなりの範囲を変化させることできる。

レーダー受信機の局部発振器に使用するときには図3・8に示すように、ガンダイオードを空胴共振器の一部に接続しておくと、発振周波数は共振器によってほぼ決定されるので、空胴共振器の調整によって、発振周波数を微調整することができる。代表的なガンダイオードにSGX-12B(SGX-12)があり、その動作特性は次のとおりである。

 

030-2.gif

図3・8 ガンダイオード初振器の空胴共振への取付け

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION