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また、その中間には可変の距離測定パルスあるいは固定の距離測定パルス(これらはそれぞれ可変距離目盛あるいは固定距離目盛と呼ばれる。)があって、可変の距離測定パルスにあってはこれを反射パルスに重ねて目盛を読み、固定の距離測定パルスにあっては反射パルスの位置を補間法によって読み取って測定する。一方、物標の方位は、反射パルスが表れたときのアンテナ方向を読み取って測定する。

その後船用レーダーでは、長残光性の蛍光面を持ったブラウン管を利用して、図1・2のように自船を中心とした平面図のように物標を表示するPPI (Plan Position Indicator) という表示方法がとられるようになった。この画面は、アンテナをモータで回転させこれに同期して中心から周辺に向かって電子線を走らせ(これをスイープという。)、反射波があったらその強さに応じて明るく光らせる方式で、海岸線があればPPI画面に海図のような陸地を描き、船があればその方向と距離に応じて輝点が表れるものである。長残光性の蛍光面を持ったブラウン管を利用しているので、アンテナが数回転以上する間輝点として光っている。それでスイープが移っても映像が残り、円形の平面図として表示されるのである。

可変距離目盛は設定した距離を半径とした円となり、固定距離目盛は一定の距離ごとの同心円となる。物標の距離rと、反射波が帰ってくる時間tとは、(1・1)式の関係がある。

ただし、cは電波の空気中の伝搬速度で一般的に3×108m/sとして計算する。

(最近の測定によれば近似的に2.998×108m/sであるといわれている。)

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約12.35μsを得る。従って、2海里の距離の他船からの反射波は、24.7μs後に、5海里の距離の他船からの反射波は61.75μs後に帰ってくることになる。また、2海里ごとの固定距離目盛は24.7μsごとのパルス発生器で得られ、5海里ごとの固定距離目盛は61.75μsごとのパルス発生器で得られることとなり、それぞれ約40.5kHz及び16.2kHzの周波数のパルス発生器である。

 

 

 

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