注1:パルス状の電波を発信して、物標から反射して帰ってくる反射パルスを受信するまでの時間で距離を知るレーダー。
注2:連続波状の電波を発信して物標から反射して帰ってくる連続波を受信して、発信波と受信波の位相差から物標の距離を知るレーダー。
1・2・1 レーダー(Radar)の原理
レーダーの原理は、アンテナから発信されたレーダー電波(パルス)が物標に当たって帰ってきた電波を受信した時、そのアンテナの方向から物標の方位(θ)を知り、送信パルスを発信してから反射パルスを受信するまでの時間から物標の距離(r)を知ることにある。
レーダー(Radar)の語源は、Radio Detection and Rangingであるといわれ、上記の原理をEcho Principleといっている。
物標の方位を1度以内の精度で測定するには、電波を細くしてアンテナから発射する必要があり、その細さの程度はビーム幅(第2章2・5節)で表される。初期の船用レーダーではビーム幅が1度とか2度であったが、最近のレーダーでは0.5度とか0.2度のものが用いられる。
物標の距離を高い精度で測定するには、非常に短い時間を測定する技術が必要で、例えば10mの精度で測定するには、電波の空気中の伝搬速度は3×108m/sとみなされるから、0.0033×10-6秒(0.033マイクロ秒)の精度で時間を測定する必要がある。
以上の精度を実現するためには、非常に短い波長の電波を使用しなければならず、マイクロ波(SHF;3波30GHz)又はミリ波(EHF;30〜300GHz)という電波が利用される。
船用レーダーの実用化は、このマイクロ波の発信と受信の技術開発並びにマイクロ秒という極めて短い時間の測定技術の開発が進んだことから始まったということができる。
1・2・2 PPIの原理
初期の船用レーダーでは、反射物標の距離すなわち反射波が帰ってくるまでの時間を測定するには、Aスコープという表示方法が用いられた。Aスコープとは図1・1のような表示で、縦軸に反射波の強さをとり、横軸に時間をとった表し方であるが、左端に発信パルスが表れ右に伸びる線上に反射パルスが表示される。